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恋文の続き・・・最終回です。
【山南敬助】
私からこのような手紙を受取ったこと、君は意外に思うかもしれない。
いや、もしかすると君は、もう理解してくれているのかも知れないね。
こう見えても、本来の私は直情型の人間だ。
だが、いくら直情型の私とは言え、やはり何の確信もないまま
自分の気持ちを伝えられはしない。
君と私の間に特別な何かが、
そう、男と女の間に生じる一種独特の感情が感じられたからこそ
私は筆を取ったのだ。
私のその認識が間違いでないことを祈りつつ、君に私の願いを伝えたい。
私は生涯君と共にありたいと願っている。
そして君を愛し、君に愛されることを励みとして日々を営みたい。
君と共に老いてゆき、君に看取られて最後を迎えることができたなら
これ以上の幸せはない。
私は今、とても懐かしい緊張感を感じている。
まるで十代の若者に戻ったかのようだ。
覚悟はできている。
是非、君の答えを聞かせてほしい。
【山崎燕】
いいこと、今からアタシが有難いお話をしてあげるから
アンタは座して黙ってこの手紙を読みすすめるのよ。
わかったわね。
知っての通り、アタシは不断の努力の結果、
この美しい見た目を維持してるワケだけど
アンタってば、女の子に生まれておきながら
女としての自分を磨くことに無頓着すぎるのよね。
アンタの隣には、
アタシっていういいお手本がいるってこと忘れてやしない?
美の伝道師を自負するアタシとしては
アンタのそういったところが我慢ならないのよ。
だって納得できないじゃない。
女らしさを追求し続けているアタシをさいおいてさ。
お化粧も着物の見立ても出来ない、アンタのやたら無邪気な笑顔が
ウケちゃたりするなんて、ホント、イヤになっちゃうわ。
梅ちゃんなんて。アンタにぞっこんじゃない。
梅ちゃんだけじゃないわ。かくいうアタシも・・・ね。
でも、このままじゃアタシの気が済まないからさ。
せめてアンタをアタシ色に染めさせてほしいの。
ちゃんと理解してる?
つまりアンタにアタシの女になれって言っているのよ。
ふふ、もちろん拒否したりなんかしないわよね!
山南さん、「私は生涯君と共にありたいと願っている」なんて言っておきながら
さっさと先に天国に行ってしまって・・・もう!
山南さんの生き方は確かに自分は満足だったと思うけど、
鈴花にとっては彼の極まりない我儘だよね・・・。って私は思うんだけどね。
残される者のことなんて、考えてないものねwww
山崎さんは・・・やっぱり見た目がずっと女の子だったから
どうしても恋愛対象ってみれなくてwww
面倒見がいい姉御と暮らすって言う感覚になってしまったわwww
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【瑛君とののの物語】
《214回目》
ののは、引き寄せられる優しくて逞しい腕に身を委ねた。
佐伯の胸に顔を埋めると、さっき湧き上がっていた情けない感情が引いていき、
すっと力が抜けた体に安心感と安らぎを感じた。
(あっ、瑛君の匂いがする・・・)
「のの、お前は俺の彼女だろ・・・」
「うん・・・」
「なんでそんな遠慮してる?」
「だって、瑛君は、私の彼氏だけど、みんなのプリンスだし・・・」
「お前がそんなにそこに拘るなら、俺、みんなの前で宣言してやってもいいぜ。
もっと堂々としてろ。わかったか。」
「うん、ごめん・・・」
「・・・・・」
「瑛君?」
「お前、髪、まだちょっと濡れてるな・・・」
佐伯は、ののを髪に指を滑らせて、呟いた。
「お前ってほんと、馬鹿だよな。雨の中、傘もささずにあんなとこで待ってるんだからな・・・」
「・・・あんまり馬鹿、馬鹿言わないでよ・・・」
「でも・・・」
佐伯は、両腕でののを強く抱きしめた。
「そんな前、俺はすきだよ。」
「えっ!」
ののは、佐伯の吐息を感じながら、その言葉を聴いて
胸がドキドキして、顔が火照ってくるのがわかった。
「なぁ。お前、何で黙りこくってるんだ?」
「だって・・・恥ずかしいよ。」
「どうせ、お前また、茹蛸みたいに顔、真っ赤なんだろ?」
「もう、言わないで・・・意地悪・・・。」
「どれ?みせてみろ・・・」
佐伯は、抱きしめていた手を緩めると、
今度はののの肩に手を置いて、顔を覗き込んだ。
「フッ、お前・・・ホント真っ赤だな・・・」
「もう、だから、そんな事言われたら、余計に・・・うんっ!」
ののの言葉を遮るように、佐伯の唇がののの唇を塞いだ。
柔らかくふわりとした感触だった佐伯の唇がじょじょに激しさを
増してくるのがわかった。
そして、のの自信の感覚も麻痺をし、体の力が抜け、
頭の中が真っ白になってくるのがわかった。
(もしかしで、このまま私たち・・・)
続く・・・
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