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恋文の続きです。
【藤堂平助】
面と向かって言ったら冗談で済まされてしまいそうだから
少し気分を変えて、手紙で俺の想いを伝えようと思う。
あんたのこと、最初はとんでもなく礼儀知らずな奴だと思ってたんだ。
だってそうだろ?
仮にも年上の幹部をつかまえて、『平助君』だもん。
で、理由を聞いたら何となくフインキ的に
そんな感じがしたからだなんて言うしさ。
でも、今となっては君付けで呼んでくれることが
嬉しく感じられるようになってきたんだ。
関係が特別っていうか・・・
平助君ってあんたに呼ばれるたび、
俺とあんたの距離が縮まっていくような気さえしたからね。
でも、もうそれくらいじゃ満足できないんだ。
そんな自己満足めいたものではなくて
俺は他に誰もが認める、
あんたの特別な存在になりたいと思うようになったから。
あんたを俺だけものにしたい。
そうでなけりゃ我慢ができなくなったから。
一晩良く考えておいてほしい。
あんたが俺のことを、特別な存在として認められるかどうかをね。
明日、返事を聞きにいくよ。
それじゃ。
【原田佐之助】
拝啓、いかがお過ごしでしょうか?
新撰組の原田佐之助です。本日はお日柄もよく・・・。
いやいや・・・違うだろ。
えーっと、本日は是非ともお伝えしたいことがあるんだが、
いや、あるのですが・・・。
あー実はそのぉ・・・、えーっと、何だ、アレだ・・・
俺と夫婦となることを前提に、お、お、お付き合いを・・・
だぁぁぁぁーっ!!
手紙ってのはまどろっこしくて、いけねーぜ!
大体、お前相手に今更かしこまったって、気持ち悪いだけだよな。
ここまでの流れで何となく見当はついてるたぁ思うが・・・
要するに、俺が言いたいことはだな。
俺はお前のことを、す、す・・・好きになっちまったってこった!
寝ても覚めても、お前のことばっか考えちまう!
どうだ驚いたか、この野郎!
この手紙を読んだらすぐに俺んとこへ来い!
絶対だぞ!マジで待ってるからな!
平助君・・・意外と大胆で強引だな~
あの、可愛い顔からは想像できないね。
それに、平助君は、鈴花のこと「あんた」って呼ぶんだよね・・・。
これも、ちょっと意外な感じ。
佐乃はもう、そのまんまの佐乃が出てる文面でしょ。
「どうだ驚いたか、この野郎!」ってwww
とても手紙文とは思えないところが、またらしいよね。
しかし、佐乃は夫婦前提のお付き合いが好きだねwww
確か、料理屋の娘さんにもそうやって言ってたようなwww
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【瑛君とののの物語】
《212回目》
佐伯の瞳の中に驚いたののの顔が次第に鮮明に見えてきた。
「えっ!えっ!お前なにしてるんだよ!」
「それはこっちのセリフでしょ?」
「なんで、瑛君がここにいるの?」
「俺の家だから・・・」
「それはそーなんだけど・・・」
佐伯はそのままののを軽く引き寄せて言った。
「お前、よく寝てたぞ。あーんなことやこーんなことやっても
全く気づいてなかったぞ。」
その言葉にののが反応して、見る見るうちに顔が赤くなっていった。
(そ、それに近いよ、瑛君。このままじゃ当たってしまう・・・口・・・)
「何だ、お前、照れてんのか?」
「だって、起きたらこの状況って・・・」
ののは、またどんどんドキドキが上昇し始めた。
「あんなことや、そんなことって・・・」
「ばーか、何にもしてないよ。」
「そ、そう・・・」
佐伯はののの首に回していた手をほどくとそっと上体を起こした。
「お前さ、今何時か知ってる?」
「えっと・・・」
ののは、部屋の時計を確認すると、もうすぐ12時になろうとしていた。
「えーーー!!もうこんな時間!」
「ほら、今から美味しいコーヒー、一杯淹れてやるから
それ飲んだら帰るんだぞ。送ってってやるから・・・」
「うん・・・わかった。」
佐伯はベットを降りてコーヒーを淹れに行った。
(あーびっくりした・・・私寝ちゃったんだ・・・恥ずかしいなぁ・・・)
そして自分の手元にある手提げ鞄をそっと膝の上に置いた。
(わたし、これを渡しにきたんだった・・・)
佐伯がコーヒーカップを2個持ってきて、一つをののに手渡した。
「ほら、ありがたく飲めよ。」
「ありがとう・・・」
「・・・」
「・・・」
静かに沈黙が流れた。
続く・・・
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