【瑛君とののの物語】
《200回目》
ののは、校門を出たところではるひとの約束を思い出した。
「あっ、はるひ!教室で待ってるかも?」
急いで教室に向かって走り出した。
教室を覗くと、はるひがののの席に座っていた。
「はるひ!ごめん!」
「ちょっと~あんた、どこ行ってたん?」
「ごめんね!さっき、佐伯君見かけたから、
チョコ渡せるかな~って思って校門まで行ってたの?」
「で、どうやった?」
「うん、それがね、声掛けようと思ったら、あの・・・くるみさんがいて・・・」
「げーー!!あの女、まだプリンスのこと諦めてなかったん?」
「そーなのかな?私とは、あれっきり、連絡取ってないから・・・」
「それで?」
「うん、何言ってるかは解らなかったけど、佐伯君、チョコは受取らずに
さっさと歩いて行っちゃった・・・」
「だろうね・・・さすがプリンス。受取るチョコと受取らないチョコ区別しとるんやな。
って関心しとる場合やないやろ!あんたはどーなったん?」
「うん、結局渡せなかった・・・。」
「もう・・・アホやな。」
「私、行けそうだったら、佐伯君のお家まで行ってくるよ・・・。」
「行けそうやったらとちごて、行かなあかんよ!
折角、あんなに苦労してつくったんやで・・・。
あんたは、プリンスの彼女やろ?
他の女から一杯チョコ貰って、彼女からのチョコがないっていうのは変やろ?」
「かな?」
「あんたな・・・とにかく、絶対渡しておいなよ!」
「うん、わかった。・・・ところで、はるひはどーだった?」
「フフーン、あんた、誰に向かって聞いとるん?
私は西本はるひやで!へまする訳ないやろ!きっちり、ハリーに渡してきたから!」
「さすがやね、で、反応は?」
「うーーん、『サンキュ!』としか言ってくれんかったけど。
ハリーもさ、プリンスと同じくらいやっぱ人気あるんさな。
大きな紙袋、3つも持ってた。
プリンスと張り合ってるとこもあるしな・・・。」
「でも、サンキュってことは、嬉しいいんだから、きっと食べてくれるよ!」
「だったらええけど。まぁ、私はバレンタインに係わらず、いつでも差し入れするけどな!」
「そうそう、あの美味しいジュースね!」
「もう、辞めて!あれは、確かに失敗作やったけど、あれからはへましてへんからな!」
「フフフ・・・。」
「とにかく!あんた、ちゃんと渡さなあかんで!」
「うん、がんばるよ!!」
そんな会話をしながら、二人は、帰り支度をし、それぞれ帰路についた。
続く・・・
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あっ、すみません。
200回目と言うことで、メインで題名を挙げてしまいましたwww
実は、大々的にお祝い(?)するつもりはなかったんです。
だから、内容も、ホント、バレンタインストーリーのいち場面。
ただね、凄く嬉しいことに
私の、乙ゲーのお友達が、この物語のイラストを描いて下さったんです。
それが、とっても素敵で、どうしても紹介したくてwww
イラストを書いて下さったのは、「パト☆らっしゅ」さん。
いつも素敵なイラストたくさん書いてて、最近、特にまた腕を上げたんです。
ド素人の私が見てもわかるもの・・・
本当にお上手になられてwww。
パト☆らっしゅさんは、明るくて、お茶目でいつも私を楽しませてくれるんです。
彼女のコメントや記事を見るのホント楽しくてwww
それに、イラストの方は、ニコニコ動画にも投稿されてて、それが、また面白い!
こんな、偉大な方に、こんな拙いストーリーにイラストつけてもらって
本当に嬉しいんです。
実は、絵がお上手な方、数人に「佐伯瑛」の絵をリクエストしたことがあるのだけど、
何だか皆さん揃っておっしゃるのは「書きにくい」みたいなんです。
私としては、全く自分は絵が書けないので、どんなのでもいいんだけどな・・・なんて
思っていたんだけど、やはり書く側としては色々こだわりとかあって難しいんでしょうね。
そんな中、わたしの我儘を聞いて下さったのがパト☆らっしゅさん!
一度、ストーリーの中にイラストを挿入してみたかったんですよね。
そんな、私の願いを叶えてくれてありがとう!!
で、描いて下さったイラストは、少し前に掲載した「クリスマスストーリー」を
イメージして下さったとのことなので、再度、引っ張り出してきました!
こんな感じでしょうかね・・・
少し、最後、付け足してみました。
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あたりはシンと静まりかえっていた。
波の音が、耳に心地よく響いている。
暗闇の中、満月に近い月と無数の星たちが、空を飾っていた。
そして、空からは、ひらひらと桜の花びらのような雪が次々落ちてきていた。
ふたりは、寄り添いながら、海岸の方へ歩いて行った。
静けさと冷たさが、聖夜にぴったりな感じがして、
浜辺でののと佐伯は暫く無言でたたずんでいた。
「クシュン!」
ののが、静けさを揺らすように小さなくしゃみをした。
「あっ、ごめんね。」
ののがそう言うと、佐伯は自分の左手の隣にあるののの右手をそっと掴んだ。
「あっ・・・」
「お前の手、冷たいな・・・」
「佐伯君の手だって冷たいよ」
すると、佐伯はののの手を握ったまま、自分の左のパーカーのポケットに手を入れた。
「これで、少しは暖かくなるかな?」
「うん、暖かいよ・・・」
「じゃーそっちの手もかせ。」
「えっ、左手も?」
「そう。」
そう言って、佐伯は自分の右手でののの出された左手を掴むと
そのまま、右側のポケットに手を入れた。
(わっ、これ、近い、近かすぎ。また顔見れない・・・)
両手を佐伯のポケットに入れられたののは、佐伯の胸に自分の顔が付きそうで
顔をどこへもっていいか、とまどっていた。
つながれた両手から、佐伯のぬくもりが伝わってくる。
重なった体から佐伯の鼓動が感じられる。
自分の髪に佐伯の息がかかるのがわかる。
(あーとうしよう、ドキドキがとまらない!どんどん早くなってくるよ・・・)
そして、佐伯の声が頭上から聞こえた。
「のの、こっち、俺をみろ・・・」
「えっ!?」
ののが驚いて顔を上げると、右のポケットの中の佐伯の右手が離れて
ののの頬に手が添えられた。
「・・・。」
「・・・。」
「のの・・・。」
「はい・・・。」
「好きだ・・・。」
「私も・・・。」
しばらく二人の視線が絡みあった後、佐伯はそっとののの唇に自分の唇を重ねた。
ののの肩が一瞬こわばったが、佐伯の唇の温かさで、全身の力が抜けていった。
すると佐伯の繋がれていた、左手が離され、ののの腰をグッと引き寄せた。
聖夜の夜、初めて交わされた二人の口付けは時を忘れて暫く続いていった。
静かに唇を離した佐伯は、ののを背後からそっと抱きしめて、耳元で囁いた。
「今日の星空とお前の温もりは絶対に忘れない・・・」
音もなく空から落ちてくる雪がヒラヒラと規則正しく舞っていて
まるで幸せの時間を刻んでいるようだった。
ふたりはお互いの温もりを感じながら、夜空に輝く満天の星空と
降り注ぐ雪をいつまでも眺めていた。
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この物語、始めた当初は、200回も書けると思ってなかったんです。
でも、こんなお話でも、応援してくれる方たちがいて、それが嬉しくて
励みになってここまで続けてこられました。
本当に、読んでくださっている皆さまに感謝です。
これからも、季節外れで、マイペースな進行になると思いますが
引き続き、お付き合いいただけたらホント嬉しいです。
それから・・・
ぱとラッシュさん、また第2弾のイラスト期待してますから、よろしくね!
そして、全く絵が書けない私に、ちょっと描いてやろうかな~なんて思って下さった方
いつでもお待ちしてますから、このストーリーに絵をプレゼントして下さいね!www
長くなってしまいましたね。
最後までお付き合いくださってありがとうございました!!
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